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最後にダメ元で電話をかけてみると、『はいもしもし椋です』と明るい元気な女声が聞こえてきた。
「椋?俺だけど……」
繋がったことに安堵しながら自己主張の言葉を口にする。
『あっ、オレオレ詐欺なら間に合ってます』
「そうじゃねえだろうが、俺だよ。沢渡朔。お前の親友の……」
あまりに時事的なボケに思わずツッコミを入れる。この時、手の動作も加えてしまったから周りから見れば、「漫才が好きな変なやつ」というあだ名を付けたくなるだろう。
そうなってしまった時のことを思って赤面していると、『知ってるよ。だって僕、朔くんの声大好きだもん』とサラッと言い放った。
不意なお世辞にさらに顔を赤らめてしまった自分がより恥ずかしい。
「そんな冗談はいいから、さっきの電話の用件」
俺は照れ隠しに言う。
すると椋は思い出すように、『今日学校終わったら昨日の場所に来て』とだけ告げ電話を切った。
「なんだよ、椋のやつ」
少し腹が立ったが、そんなことを水に流して放課後行ってやることにした。
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