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ビルに入ってみると殺風景で受け付けとロビーぐらいしかなかった。
俺は受け付けのすぐ隣に設置されていたエレベーターに乗せられるとそのまま社長室へと連れていかれた。
社長室に入ると、威圧感のある一見ヤクザみたいな男が座っていて隣には秘書らしき人物が立っていた。
「やあ、待っていたよ。朔くん」
ヤクザは俺に座るように促した。
ガチガチに緊張した声で、「は、初めまして」と挨拶した。
「そんなに固くならずにもっと気楽になりたまえ」
大笑いする男は怖そうな外見はしているが内面は優しそうだと悟った。
「初めまして、朔くん。私は、タチバナプロダクションの社長、橘総一郎(タチバナ ソウイチロウ)だ。君のことは椋からよく耳にしているよ」
相手は自己紹介を終えると手を突き出し、握手をしてきた。
「それで何故俺はここに呼び出されたんですか?」
まだ若干緊張しながらも本題を訊きだそうと、
「もう本題に入るのかい?少し世間話でもと思ったのだが、君はせっかちだね」
と少し寂しげに眉を曲げながら言った。
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