25人が本棚に入れています
本棚に追加
「今日、放課後、すぐにスタジオに向かうからね」
朝にそう告げられると椋は難しそうな本とにらめっこを始めた。
「りょーくんになーんかしたの、はーじめー」
拍子抜けした声で俺の背後から出てきた小動物はいつもより眠たそうな顔で俺に突っかかってきた。
「どうした、ハム。元気ねえぞ」
「は、はむとはなんだ、はむとは」
からかうとさっきの眠気はどこへやらと言わんばかりに反発してきた。
「ハムスターみてえだからハムって呼んだんだ。悔しかったら成長してみろ、バーカ」
「むきーっ。ばかとはなんだ、ばかとは。いっとくけどはじめよりわたしのほうがずっとあたまいーんだからね。それに、このせたけはわたしのとしからいえばけっこうじょーいらんくなんだからね」
そう言って胸を張る楓だがどう見ても年相応に見てもワーストスリーにランクインする気がする。
「そんで楓、どうして今日はそんなに眠そうにしてんだ?」
「いやーじつはわたしどくしょがだいだいだーいすきで……」
「んで夜更かししちゃったってわけか」
んーとだけ返事をして楓は机に沈んでいってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!