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最後の授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、下校時刻となった。
「はーじめくん、行こう」
「お、おう」
軽い会話交わし、校門前で待つ車へと飛び乗った。
…………のはいいんだが、
「なんでお前までいるんだよ」
明らかにその場にはいてはいけないチビの存在に思わずツッコミをいれてしまった。
「いやー、なんてゆーか、そのー」
楓が言いにくそうにもじもじしていると、
「あれ?朔くん知らなかったけ?楓ちゃん実は声優なんだよ」
なんとまあビックリなドッキリだ。カメラはどこだ?
辺りを探してみるも見つかるわけがない。
「何やってるの?朔くん」
疑問に思っている椋の耳に顔を近づけ、「カメラはどこだ?」と聞いてしまった。
しばらくこんな間抜けなやりとりが続いた。
──30分後
「──んで楓は実は声優だったと、そう言いたいんだな」
「だから何度も言ってるじゃん」
ずっと言い争っていたせいかお互い息が荒れていた。
「わたし、ほんとーにせーゆーだよ」
「信じてよ、朔くん。水沢楓、聞いたことくらいはあるでしょ。色んなのに出てるんだから」
水沢楓──ここ最近売れだしてきたアイドル声優である。可憐な声質が売りである。
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