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「朔くーん。一緒に帰ろうよ」
椋はニコニコと笑いながら言い寄ってきた。
しかしまだ帰宅準備がすんでいなかったらしく返事をした後ももたついている。
「ぐずぐずしてっと置いてくぞ」
そんなもたつきに痺れを切らした俺は若干強めに叫んだ。
「そんなこと言わないでよ。全く朔くんたら、ツンデレさんなんだから」
その言葉は魔法の言葉のようにざわついていた教室を静粛させた。
俺も焦ったが、乱れると怪しまれるので平常心を保った。
「……変なことばっか言ってないで早く帰るぞ」
ペコリと俺に頭を下げながら「ゴメンね」と言うとクルリと半回転し、
「みんなごめんね。決して朔くんにそういう趣味があるわけじゃないからね。それだけはわかってね」
とだけ叫びさらに半回転し、俺の横に並んだ。
「余計なことばっか言ってっから面倒臭ぇことになんだぞ」
ブツブツと文句を言い始めた俺に、
「えへへ、ごめんね。だって朔くんがかぁいいから……」
と賞賛の言葉をくれた。
しかし俺は照れ隠しに、
「どこがだ!!」
と反発してしまった。
全然お前の方が可愛いよ。
「えー、そうかな?」
え!?こいつ心が読めんのか!?
「例えばそのツンデレな態度とかかぁいいけど……」
「そっちかよ!!」
無邪気な笑顔で思わせぶりな言葉に思わず突っ込みを入れてしまった。
「えっ……何?」
「いや、こっちの話……」
椋が鈍感だったおかげで助かった……
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