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こんな感じで友人関係を築いていくことは出来た。
椋は少し不思議な声を持っていた。もの凄く高音域の声が出せるのだった。
カラオケに行くといつも女性の歌を歌い、しかもめちゃくちゃ上手い。
そして歌っていてテンションがマックスまで達すると、「これ僕の歌なんだよ」と冗談を言い始める。
そんな冗談は右から左に聞き流していたが……
ある日のカラオケの帰り……
いつも通り二人で帰路を歩きながら他愛のない話をしていた。
「いやぁ、今日も楽しかったね~」
椋はニコニコと笑いながらトコトコと歩く。
一方、俺は冷静に話を聞きながら歩き続ける
「まあな。でもカラオケ来すぎじゃねぇか?」
「いいじゃんカラオケ楽し……『椋!?』
見知らぬ女性が椋のセリフを横切り椋に向かって叫んできた。
椋は振り返るなり、
「あ、綾ちゃん。どうしたのこんな所で?」
と知り合いに話しかけるように会話し始めた。
「ちょっと仕事でね……こちらの方は?」
綾と呼ばれる人物の質問に椋は赤面し下向きながら、「僕の彼です」
と冗談を言い放った。
すかさず俺は、
「いや、違うし。俺は沢渡朔。椋の親友です。あなたは?」
と突っ込みを入れる。
綾は俺の返答には、「ふーん」とだけ頷き、質問を続けた。
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