曖昧

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今年16歳を迎えた私は、宗教的な問題で、命が無限だと考えていた。 でも目の前で家族が死んだ時に命に限りがあると思った。 私は宗教的な問題で、占いは万能だと考えていた。 その占いを母がした時、結果は永遠の生と幸せだった。 母は笑った。 今が幸せの絶頂だと母は言った。 だからこの幸せが続くのだと母は言った。 けれど家族が死んだ時にそれも無いとわかった。 だから命という言葉と占いというモノが嫌いになった。 ――――これが、昨日起きた事件を振り返った感想だ。 今でも占いは嫌いだし、命という言葉は嫌いだ。 私は今、親戚の家ですごしている。 16の私と、歳が一つしか変わらない女性の人なので、お姉ちゃん、と呼んでいる。 名前は水渡 弥栄香(みずわたり やえな)。 くしけずったような長い黒髪に青いリボン状のヘアバンドが特徴的な人だ。 お姉ちゃんは、家族を失った私に言った。 幸せは永遠のモノになったんだよ。 命は限りある中の永遠なんだよ。 幸せの絶頂で死んだから不幸もなにもないんだよ。 限りある命が無くなったから永遠なんだよ。 存在も幸せも、覚えている限りは永遠なんだよ。 だから忘れないで。 あなたは常に、家族のことを思わなくちゃいけない。 あなたが忘れれば、永遠なんて嘘なんだよ。 偽善でも、家族が好きならそうしなくちゃ。 あなたの家族はそれを信じたのだから。 嘘を信じて勘違いをして、けれども信じていたという事実が残る。 あなたは嘘だと知ったけど、あなたがあの家族の一員である限り、あなたは崇拝しなければならない。 誰も助けない、無力なモノを。 存在しないモノを。 神様を。
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