凍った時間

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――――不幸な生まれ方をした。 俺は貧乏な家に三男として生まれた。 兄が二人いた。 家が貧乏だから、俺は必要ない子だった。 食費やらなんやらと手間がかかる子供が三人いる。 そう考えたら、一人ぐらいいなくていいという結論に達したのだろう。 ――――両親は幼い俺を路地裏に捨てた。 ゴミのよう、ではなく、本当にゴミ。 必要がないから捨てた。 ゴミを捨てる理由となんら変わりない理由で捨てられた俺は、人という呼び名があるだけの、要はゴミだった。 時が経って、餓死をする寸前、カラスだったか鷹だったか覚えてないが、鳥が俺を喰った。 ズチャ、という音が耳元で聞こえたのは、いまだに覚えている。 その後に、その鳥がなにか大型の生き物に喰われた。 その後に、その獣は人型の生き物に狩られた。 俺はそこで餓死し、肉体は腐敗。 命は冥界へと消えた。
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