満月とピアノと黒猫

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      まだ、あのクセが残ってたみたいだ。   弾きながらあいつの顔を見る俺のクセ。   今は黒猫を見る。               微笑んでいるのか?           目を閉じて、俺の音をしっかりと心に刻みつけて…。       やっぱり、 この黒猫はあいつなんだ。         ただいつもと違うのは、     泣いているように見え、 俺も涙を流していた。         もう、涙で顔が見えない。                         気がつくと、 黒猫はいなくなっていた。       【愛してる】その言葉を残して。       満月の夜、 ピアノの音色は届いた。         『愛してる』その言葉とともに。                  ―――――………。
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