逢瀬

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ただいま! 何事もなかったように、私は玄関のドアを開けてた。 おかえり! ママ、おかえり! 母と娘が出迎えてくれた。 紗香…何かあった? 母が心配そうに、私に声をかけた。 ううん…どうして? 何か元気ないから… 母は、全てを見透かすように、私を見ていた。 元気だよ! 私は笑った。 母は、何も言わず、茶の間に行った。 ママ、今日ね… 娘が、今日の出来事を話す。私は、うわの空で、娘が何を言ったかさえ、わからないのに、うなずいていた。 頭にあるのは、誠の事… 私は、母である前に、初めて、女で居たいと思った。
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