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「俺の名前だと?」
「ああ、そうだ」
男は急に笑い出す。
「ははははは! そうか、俺の名前を知りたいか」
男は笑いを止め、真面目な顔をする。
「で、お前はそれを知ってどうする気だ?」
「……さあね」
「ふ……ははは! 面白い奴だ!」
男はさも愉快そうに笑う。
「いいだろう、教えてやる。俺の名前は……」
男が名乗ろうとしたその瞬間、辺りが急に光るのを感じた。
その光は、暖かいような冷たいような何とも言えない感覚で、俺と男を包み込む。
「な、なに? この光は……」
男はひどく驚いた様子で狼狽えている。
俺はわけもわからず辺りをキョロキョロと見渡していた。
「まさかこいつが……いや、しかしこいつの強さは……」
男は俺の顔をまじまじと見つめ、やがて納得したように語りかけた。
「おい、お前」
「な、なんだよ?」
「お前にはこれから様々な試練が待ち受けているだろう」
「な、何言ってるんだ!?」
「うるさい! 俺の話を黙って聞け! 時間がねぇんだ!」
俺は男のあまりの大声に黙り込んでしまう。
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