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「まだ……まだぁぁぁぁぁ!!!」
俺は近くにあった角材を杖代わりにして、ふらふらになりながらも立ち上がる。
「なに? しつこいやつだ」
男は面倒くさそうに溜め息をつきながら、俺を見やる。
「なぜそこまでして戦うんだ? お前は」
「何がお前をそこまで駆り立てるんだ?」
男からの素朴な疑問。
それはここまで奮闘して戦った者への尊敬の念を込めての疑問だった。
何が……か。
改めて考えてみたら、理由なんてなかったな。
俺はただ、この世界に退屈を感じてて……。
何かが変わることを期待して、町ゆく不良達に喧嘩を売って……。
そいつらに勝ってきた。
その町で俺にかなう奴がいなくなった頃、俺は化け物扱いされていた。
そこからは毎日が喧嘩に明け暮れる日々。
県内はもちろん、県外からも噂を聞きつけた喧嘩好きどもが俺に勝負を挑んできた。
ただ俺はそいつらに負けることは一度たりともなかった。
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