ありがちその2*学園

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翌朝。   小太郎は学園に行った。学園に行くまでの道では、百人中百人が振り返り、小太郎の顔を二度見する。小太郎はその視線が嫌いだった。朝から憂鬱な気分で歩き、学園につく。   …なんとなく、教室の前に来てもドアをあける気になれず、立ち尽くしていた。     「小太郎!?」 背後から、大きな声で呼ばれた。担任の、ねねだ。     「来てくれたんだね!何でそんなとこで止まってるの?早く入って!」 ねねに教室のドアをガラリと開けられ、皆の視線が小太郎に集まる。     小太郎がまたしても立ち尽くしているのを見たねねは小太郎をひっぱって教室に入る。ねねはそのまま教卓の前まで来た。     「…小太郎が学校来れるようになったよ。みんな、仲良くしてあげてね!」 ねねの言葉に反応し皆が声を上げた。もちろん yes の。     小太郎は嬉しかった。ねねが「仲良くしてあげてね」と言ったあたり、ちゃんと自分のことを考えてくれていたのだろうし、生徒がそれにこたえてくれたのも意外ではあったが嬉しかった。   しかし来れるようになったよとは何だ…?休んだのは昨日だけだというのに。   少しの違和感が残ったが、もうどうでもよかった。黒板のことも忘れていた。初めての友達ができたことが何より嬉しかった。依然として顔には出さないが。     その後の授業では授業中に隣の席の“加熱具”にさんざん義について聞かされ、疲れたが話すのは楽しかった。     今日の授業が終わって小太郎は友達ができた幸せをかみしめながら帰宅する。     そのころ   「しかし、意外と普通の奴だったぞ…?本当に病気なのか?義について語っても真剣にきいてくれた。」 「…真剣に聞く時点で普通ではないがな。」 「もしかして、ねね殿の嘘…?」   こんな会話が。   そう、小太郎が休んだ日の午後のHRでは、ねねがこう言っていたのだ。   「…みんな、よく聞いてね。今日休んでる小太郎は病気で人とうまく話せないだけなの。その病気を治すために飲んでる薬の副作用で顔色が悪いんだよ。みんなは怖いとか思うかもしれないけど、小太郎はいいこだから友達になってあげてね?」     もうおわかりだろうか? …小太郎は、病気でもなんでもない。完全にねねの計画通りだった。一つの誤解が生じてしまったが、まあ結果的に小太郎には友達ができたしよしとしよう。
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