序章

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一行は民衆の熱烈な歓迎を受けながら、ついに街の中心に到達しようとしていた。 「まさか本でしか読んだことがないようなことを、自分がやることになるなんてな」 「彼に感謝するのね。私たちが此処にこうして居られるのは彼のお陰なんだから」 「……お前、変わったな」 「そう?」 彼。そう、今向かっているその場所に彼はいる。 角を曲がると、彼らしき人影が目に入った。彼も彼女達を祝福してくれている。 彼は最初に会った頃からは想像もできないほど大きく、そして遠くに行ってしまった。 彼に近づいているはずなのに、久しぶりに会えて嬉しいはずなのに、やはりどこか淋しい。 彼の姿が大きくなってゆく。 それに連れ記憶も大きくなり、彼女の中を埋め尽くしていった。
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