第一章

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あまりの暑さに思わず飛び起きた。 確か昨日の晩は凍えるほど寒かったはずだ。だから淋しく独酌をして体を温めていたのだが。 もしや未だに酔いが醒めていないのではないだろうか。それとも、あの幽霊が春を集めすぎて夏でもやって来てしまったのだろうか。 そう思わせるほど強烈な陽光が彼女を照りつけていた。 博麗霊夢(ハクレイ レイム) 彼女は『幻想郷』という現代社会とは結界で隔てられた世界で巫女を務めていた。 幻想郷は、中世日本の山村のような風貌の世界である。山には妖怪や神が住み付き、人間と妖怪はある程度良好な関係を保って共存していた。 そんなことはどうでもよい。 無いからだ。 彼女の目の前にソレは無かった。 代わりにあったのは、ところどころに岩が転がり、黄緑の粉が降りかけられ、ゴツゴツしたどこまでも続く、幻想郷とはかけ離れた景趣の大地であったのだ。 霊夢は、一体何が起こったのか分からぬというような顔をして、黄緑の地面にペタンと座っていた。 しばらくして思い出したかのようにようやく声を発する。 「……はて?」 彼女の頭上ではクエスチョンマークがホバリングしているようだ。 だが、それも当然の反応である。 自分が何処かも分からぬ土地に放り投げられているのだから。 「昨日、歯磨いて寝たっけ?」 はたして気にするところはそこなのであろうか。 「気にするところはそこなのか?」 代弁ありがとうございます。image=252327667.jpg
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