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霊夢は考える。
その考えならば既に浮かんでいた。しかしそんなことが有り得るのだろうか。
だが現に自分は見ず知らずの、幻想郷とは程遠い瘠土の上にいる。
ここが幻想郷でないならば一体何処なのか。また、何故こんな所にいるのか。
前者の答えは考えても出そうにない。
しかし後者ならば心当たりがある。
「はぁぁ、紫の仕業かしら」
霊夢は大きなため息をついた。
八雲紫(ヤクモ ユカリ)
幻想郷に住まう妖怪である。
あらゆるものの『境界』を操ることができ、その力は神にも匹敵するほどのものだ。
その力で幻想郷外の人間を結界内に引き入れる、所謂「神隠し」をするのも彼女だと言われる。
神隠しをしたり、月に攻め込んだりする彼女ならばやりかねないことであった。
「なんとも言えないな」
だが魔理沙は否定も肯定もしない返事をした。
この状況で彼女の所為だと決めつけるのは賢いとは言えない。
それに、そんなことを考えても事態は進まないのだ。
魔理沙は話題を変えた。
「ところで、お前が起きる前に色々試したんだが……」
「何よ」
「……コレを使ってみろよ」
魔理沙は自分の額のソレを指さす。
霊夢は困惑したが、友人がじっと見つめてくるので、額からスペルカードを取り、立ち上がって発動の宣言をした。
「夢想封印!!!」
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