ある少女の事件と私と(仮)

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一、 周りが真っ暗で、手足がベットに拘束されていて、身動きができない。 「被検体No.42の魔晶石の融合実験を始める。」 手術着の医師らしき人間たちに取り囲まれる。 被検体No.42、それが今の私の名前だ。性別は女性。金髪で、青い目をしていることは、他の被検体の人達から聞いた。 私自身、鏡などに写った自分の姿を見たことがないので、周りの人間に聞いた情報しかしらない。 私はいつも無機質で、白く、やたら広い箱のような部屋で、七人の被検体とこの実験の日を迎えるまで過ごしていた。 私以外の被検体はよく素性を知らないが、私はあの部屋から一度も出たことが無い。 「…っつ!?」 今まで感じたことが無い痛みを感じる。いや、痛みというより、全身が焼き焦げるような熱さが襲う。 「あっ…うっが…やめて…あ、あつい…」 熱い熱い熱い熱い熱い…!火に包まれた様な熱さだ。今にも気を失いそうで、だけど、気を失えば、もうこの場所には戻ってこれないと直感する。 「…いや!…死にたくない!!」 恐怖からか…それとも、この熱さからだろうか?瞳から涙がこぼれるのを感じる。 誰でもいいから…助けて!? 「モルモットのくせに、涙なんか流してやがる…。生きてるなんて、これっぽちも感じたことないくせに、生意気だぜ。」 手術着の死神たちの誰かのとても悪意が感じる声が、熱さで意識が遠退いていく私の耳にかすかに届いた。しかし、鮮明に私の脳に刻まれた言葉だった。
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