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青年は、大きな屋敷の中にいた。一般庶民では一生住む機会はないであろう、貴族と呼ばれる階級の者が住んでいる場所である。
同時に特にこの屋敷は、彼にとっての希望と絶望が交錯している場所でもある。
数多の絶望と、一握りの希望……彼は一握りの希望のために、ここへ訪れたのである。
無駄に広く、豪華に装飾された長い廊下を歩いて行く。
運がいいことに、今回は使用人に見つかることもなく、目的の部屋の前に着くことが出来た。
彼は一月に一度、この部屋に行くことを既に9年は続けていた。
そして彼は、またこの部屋に入る。取っておきの話を携えながら……
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