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自己嫌悪に襲われながも、私の体はそれを拒まなかった。
この時、私は快楽を優しさと勘違いしたのかもしれない、だが今の私にはそれが必要だった。
底しれぬ不安や恐怖に怯える日々に、少しでも喜びや楽しさを求めていたから。
そしてまた一日の終わりを迎える。
朝になると、晃君に買ってもらった目覚まし時計が部屋中に鳴り響き、一日の始まりを告げる。
彼は起きると衣服を身に纏い私の部屋を後にした。
私も同じく衣服を身に纏い、旧校舎へ向かった。
「おはようございます」
教室に入ると既に全員揃っているらしく、昇が『早く座れ』と私を急かしてくるではないか。
私は急かされながらも1番奥の席へと向かい、静かに着席した。
「じゃあ人数確認するぞ?」
昇が言うと左の端から数を順番に数えていっている。
「綾!何しているんだ、早く数を言え」
「えっ?」
「ボケてんじゃねぇーお前で数合わせが止まってるんだよ!」
すると、私の前に座っている女性が後ろに振り向くと、小声で私に話し掛けてくる。
「あなたで11よ」
それだけ言うと、彼女はすぐに顔を前に戻した。
「11です」
数を言い終え私は深く溜め息を吐いた。
こんな場所で上手くやっていけるのかな?
これが私の正直な気持ちである。
昇の言い方といい、一々カンに障る言い方を毎回されると我慢の限界を感じる。
いつキレても仕方ない状況だ。
休みのあいだに色々あった為、かなり精神的に追い込まれている私には、今の状態はかなりキツイ。
まあ例えこの事を昇に言った所で軽くあしらわれるのがオチなのだろうが。
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