3話【涙】

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「63人全員います」 「よし、じゃあ俺は今日来る新人の元へ行ってくるから、綾に……おい、お前!」 昇が指名する先には真面目そうな、簡単に説明するなら秀才君と言った所か。 「はいっ!なんでしょう?」 びしっと動く所が真面目さを引き立てる。 「綾に色々教えてやれ!」 昇はそれだけ言うと、教室を出ていった。 新人がやって来ると言ってたが一体どんな人がやって来るのだろう。 そんな事考えていると、先程の彼が私の元へとやってきた。          イマイ アユム 「初めまして、僕は今井 歩です。 何か分からない事があったら聞いて下さい! 今日一日よろしくお願いします!」 ――堅苦しいなぁー! それが彼に対する第一印象である。 「こちらこそ」 互いに挨拶を交わすと、歩は私を食事に誘ってきた。 「朝ご飯まだでしょ? 良かったら食堂で話さない?」 「わかりました、行きましょう」 私達は旧校舎を出て、本校へと向かった。 正直私には、朝ご飯を食べるとゆう習慣がないのだ。 ――食堂―― 「綾さんは何食べる?」 「私は朝は食べないからコーヒーだけで」 「朝ご飯食べないと体調崩すよ?」 初対面の人にそんな心配されたくないものだ。 私は適当にはぐらかし、食券を買いに自販機の前に立った。 「コーヒーくらい僕が奢るよ」 「いいよ……逆にそれくらい自分で買うから」 「そうですか」 私が気を使い遠慮すると、彼は少し気の落ちたような表情を見せる。 普通そこまで落ち込むのもどうかと思うのだが……。
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