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俺には幼馴染がいる。それも飛びっきり可愛い美少女の。
しかも、毎朝俺を優しく起こしてくれて、うまいお弁当も作ってくれて、気配りも効く。
いわゆる理想の幼馴染を体現した存在、アルティメット幼馴染とでも言っておこうか。
だが、俺は恵まれているとか、そんな自慢がしたいわけじゃない。
今年高校生になったばかりの俺にだって、世の中に完璧なものなんてありゃしないんだってそれぐらいのことは理解しているつもりだ。
幼馴染は感情の起伏が激しいというか、俺のことになると周りのことが見えなくなるとか、独占欲が強いと言うか……俗に言うヤンデレさんだったのだ。
だからか知らないが、「ずっと一緒」「私だけのもの」「だから死んで」「私も一緒に」「死ぬから」と俺が少しでも他の女の子と仲良くすると直ぐに包丁ないしアイスピック等を振りかざしてきた。
ちなみに一番焦ったのはチェーンソーだ。あれの駆動音は恐怖を煽ることに関しては一級品だと思う。
最初の内はそりゃあ腰を抜かしたりしたさ。
当然だろ?
ある日何の気構えもなく突然刃物を眼前に突き付けられるんだぜ。
しかし、人間というのは順応性の高い生き物なわけで、何回もその場しのぎで情けなくも乗り越えていると、俺もそれが普通だと認識するようになってしまい、最後には片手でいなしてしまえるレベルまで到達したのだから、ほとほと慣れと言うものは恐ろしい。
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