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「あいつマジヤバすぎるって…」
その場にへたり込みながら、神威は大きく息を吐く。
「お~い?あんたは大丈夫?」
神威は隣で尻餅をついたままの君武に声をかける。
呼びかけに答えるかの様に、君武の瞳に光が戻る。
「ん?お前は?蘇芳は?」
状況が把握できず、辺りを見回しながら、神威に訪ねる。
「俺は1ー2Aの、八掛だよ。そいつならもう行っちゃったよ。あんたは?」
神威は君武に顔を向け様子をうかがう。
「ちっきしょう!!また勝てなかった!!俺とあいつのなにが違うってんだ!!」
言いながら君武は、蘇芳が穴を開けたブロックを、座り込んだまま殴りつける。
―ゴガァッ!!
激しい音と共にブロックがはぜ割れる。
―いや…
あんたも十分凄いから…
思わず目を点にしながら、神威は内心で呟く。
この様子では、蘇芳が素手でブロックに穴を穿った事は言わない方が賢明だろう。
「あぁ、俺は1―3Dの護堂、護堂君武だ」
突然、君武は自分の名を名乗る。
神威は一瞬何のことか分からなかった。しばらくして、先ほどの神威の質問に、君武が答えたのだと気づく。
「あぁ、よろしく。…って、あぁーっ!!」
神威は右手を差し出してから大声をあげる。
「どうした?」
その手を握り返しながら尋ねる君武。
「始業式…終わっちゃった…」
神威は力なくうなだれたのだった。
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