悪魔と呼ばれる存在

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直後蘇芳から雷光が疾る。 『ほぉう…。儂の力に怖じ気付いて、儂が姿を現す前に接続したか』 牛鬼は悪戯を咎める好々爺のように笑みを浮かべる。 『賢明な判断じゃが、接続しても結果は変わらんぞ』 しかしその笑みもすぐ邪悪な色に染まった。 「貴様こそ勘違いするな?接続しなくても、貴様などすぐにバラせる。ただかっかるぃだけだ」 無表情のまま吐き捨てる蘇芳。 『口調だけは一人前じゃな。じゃが口先だけでは儂には勝てんぞ?』 そう言って、牛鬼は鋭い歯のならんだ口を、にぃっとつり上げる。 「貴様こそ口先は達者なようだが…その口に聞きたいこともある。しばらくは生かしておいてやる」 蘇芳は無表情にそう言い構えをとる。 『ぬかしたな、小僧!』 牛鬼は鋭く尖った爪のついた脚をすさまじい速度で降り下ろす。 しかしそこに蘇芳の姿はなかった。 「祖父は元気か?」 振り下ろされた脚の節に立ち、蘇芳はバカにした笑みを浮かべる。 『貴様の祖父など知らんわい!!』 怒鳴り蘇芳の頭を噛み砕こうと、口を開ける。 「迅雷…」 その口に、自ら手を差し入れ呟く蘇芳。 次の瞬間蘇芳の掌から、目も眩むほどの雷光が発せられる。 『ガァァァァァァッ』 咥内を雷で打たれ、たまらず叫ぶ牛鬼。 「自慢の皮の厚さもこれでは役にたたないだろ?」 蘇芳は寒気を覚えるほど壮絶な笑みを浮かべ― 「もう一度尋ねる。祖父は息災か?」 『ッガァァァァァッ!!』 蘇芳の問いに、叫びをあげ、別の脚の鉤爪を、蘇芳を串刺しにしようと振るう牛鬼。 蘇芳は電撃を止め、大きく後方へ飛び距離をとる。 「ふん…口が堅いな」 面倒そうにつぶやく蘇芳の全身を、電荷が覆う。 『許さん!!許さんぞ!小僧!!』 怒りに震え、牛鬼は蘇芳を睨みつける。しかし次の瞬間… ―牛鬼の視界から蘇芳は消えて居なくなる。 『!?』 そして― 「舜雷…」 ―声は後ろから聞こえた。 声と共に、先ほどよりも激しい雷撃が牛鬼の内部で荒れ狂う。 『!!』 声を上げることすらかなわず、牛鬼はその場に崩れ落ちた。 その巨躯の胸元(?)から尾部にかけて、大きな穴が穿たれている。 周囲には肉の焼け焦げる臭いと、オゾン化した空気の臭いが、混じりあい漂っている。
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