悪魔と呼ばれる存在

3/8
前へ
/102ページ
次へ
「これで大人しく話す気になったか?」 しかし牛鬼はその問い掛けに答えない。 しばし落ちる沈黙。 「…ふん…」 踵を返し蘇芳は鼻をならす。 音もなく… 振り上げられた牛鬼の脚が、蘇芳を串刺しにすべく振り下ろされる。 ―ザスッ!! 「さすが悪魔。随分タフだな。それともお前が下等だからか?」 虚しく地面に突き刺さった鉤爪を牛鬼が確認するよりも早く、背後から声がかかる。 しっかりと牛鬼の頭を後ろから掴み、冷笑を張り付けた蘇芳は、三度目になる問いを投げ掛けた。 「今一度問う。クソジジイの差し金か?」 「じゃ…じゃから貴様の…」 慌てて恐怖を露にして答えようとする牛鬼。 しかしみなまで言い終えるより早く… 「そうか…人違いだったか…悪いな…」 言葉と共に、一瞬だが今までの数倍に匹敵する雷光が蘇芳の腕から疾る。 その一瞬で… 牛鬼の頭は跡形もなく弾け飛んだ。 ―ふぅ… 息を吐いた蘇芳は、落ちてきたメタルアッシュの髪をかきあげながら、ふと動きを止め苦笑する。 「…人違い?人じゃねぇっつーの」 独自のツボで一通り笑い終えた蘇芳は、再び溜め息を吐き― 「…かったるぃ…帰って寝よ…」 再び寮に向かって歩き出した。
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加