53人が本棚に入れています
本棚に追加
ほとんどの女性を魅了するかのようなそのウィンクに、キザったらしさはない。
「ベルから彼の話は聞いていたからね」
「そんな事より…ルイ。何故彼を推薦する?」
リーダー格の男の後ろに控えていた赤髪の白人男性が尋ねる。
「あなたに理事長を呼びつけにする資格は…!!」
「まぁまぁ。小森君。今じゃ彼等も最高位なんだから、かまわないじゃないか」
激昂し声を荒げる小森を鎮めるルイ理事長。
「…し…しかし…!」
戸惑いながら小森はなおも食い下がる。
「まぁ、あまりなめられるようならお仕置きしないといけないけど…。それは…」
そこでルイは言葉を区切る。
「…構わないよね?サタン?」
そこで初めて…
今まで飄々とした雰囲気を放っていたルイの瞳に剣呑な光が灯る。
「…ルシファー…我々は話をしに来たんだが?…ミカエルも控えろ」
サタンと呼ばれた男は、赤髪の白人を手で制する。
「しかし!!」
ミカエルと呼ばれた男は、先程の小森と全く同じ言葉を口にする。
「控えろ…といっている」
そこで…
初めてサタンはミカエルを見る。
その表情はルイからは見えない。
「さすがは天界の北方監視者だね。四大セラフを一睨みで黙らせるなんて」
先程までの雰囲気をかもし出しながら、ルイは茶々をいれる。
「お前もコイツをからかうな。元天使長」
苦笑を浮かべながらサタンはルイを見る。サタンとルシファー。
一説では同一の存在と見られがちだが、全く別の存在である。
簡単に分けるのなら…
天界所属の権力者サタンと、魔界トップのルシファー
…その相容れない二人(?)が、こうして会談の機会を設けているのである。
「で?何故この蘇芳という少年に目を付けた?」
サタンは訝し気な表情を浮かべ、ルイを見る。
「簡単な事だよ。ベルとアリからの報告によれば、彼は接続者としての能力の他に、その経歴から喰人(イートマン)としての能力にも目覚める可能性が極めて高い」
ルシファーの瞳に暗い光が灯る。
―畏怖
…であろうか?
「アダムの器である可能性がある…と?」
サタンは言葉を選びながら尋ねる。
ルイは軽く肩をすくめ、芝居がかった口調で続ける。
最初のコメントを投稿しよう!