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「そう。私が堕天(fall down)するきっかけとなった存在、サタネ…」
「その名を口にするな!!」
今までにない厳しい口調で、サタンは言葉を遮る。
その剣幕にルイは、やれやれ、といった雰囲気の表情を浮かべ、
「そう言えば、この名は天界じゃ禁忌(タブー)なんだっけ」
後頭部を掻きながらサタンを見る。
サタンは視線で先を促した。
「喰人の能力に目覚めたものは、全てアダムの器になりうるわけだし、全ての人間がきっかけさえ有れば喰人の能力に目覚める可能性はあるけど、今の所彼がアダムの器になった場合の被害を算出すると、大学院までを含めたこの学園内でトップクラスに入る」
その言葉を聞き、サタンの背後に控えたミカエル達が色めき立つ。
「つまり…監視しやすい位置に置いておきたい…と?」
不適に笑いながらサタンは尋ねるが、その額には汗が浮いている。
「うん」
対照的に、変わらぬ口調で答えるルイ。
しばしの沈黙―
「風紀公安に所属させる事に異論はない。ただ…条件がある」
サタンは暫く考え口を開いた。
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