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言って君武はなんとも言えない顔をした。
「それがなんだって殺し合いみたいな真似を?」
言って神威はチキンカツを一口。
片やコンクリートに素手で穴を穿ち、片やコンクリートを素手で砕く。
仮に本人達にその気がなくても端から見れば立派な殺し合いである。
「あいつが今みたいに、ほとんど人を寄せ付けなくなっちまったのは中2になってからだったな…。多分春休みに何かあったのかも知れないな」
「それに対して何も聞かなかったのか?」
口の中のチキンカツを飲み込み、神威は水を一口。
「聞いたけど答えてくんねぇよ。それを聞き出す為に突っ掛かっていってる…って感じだな。それ以来ウザいとか、かったるいがあいつの口癖」
君武は苦笑を浮かべると、残ったライスを掻き込む。
「あぁなる前ってどんな感じだったんだ?」
言いながら神威はチキンカツがのった皿を君武の前に置く。
「あいつがどんな奴だったか…か。あいつと初めて会ったのは、1年のゴールデンウィーク明けだったな…」
君武はチキンカツを口に運びながら遠い目をする。
「あ…回想モードに入っちゃう?」
神威の突っ込みを無視して、君武は先を続けたのだった。
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