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「…と、まぁ、こんな感じの出会いだったなぁ」
しみじみと…
俺は話を締めくくった。
「あいつがそんな感じだったのか?」
心底意外そうな神威。
でかい瞳には戸惑いの色が濃い。
まぁ、無理もねぇか…
俺も、あいつが今みたいになるなんて、考えた事もなかったかんな…
「あぁ。信じらんねぇだろ?そんでその帰り道に、屋上で逃げてった連中が、ゾロゾロと仲間を引き連れて来やがったけど、俺たち二人でボコボコにしてやった」
食後のお茶なんぞ啜りながら、俺はニヤリと笑い神威の質問に答えてやる。
ふと…
寒気を纏った視線を感じ辺りを見回すと、店の親父がこちらを睨み付けている。
時計を見ると既に店に入って一時間を過ぎていた。
この手の店は客を回転させてナンボ。
はっきり言って俺達は、迷惑極まりない客以外の何者でもなくなっていた。
気まず…
「神威、そろそろ出るぞ」
居心地の悪さを覚え、俺は席を立つ。
この店は気に入ってるし、わざわざ次回来づらくすることもない。
「ちょ…待ってってば」
神威は会計を済ませ、俺の後を追ってきたのだった。
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