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闇に呑まれし者
飽食横丁からの帰り道。
神威と君武の部屋がある大聖寮へと続く道を、二人はてくてくと歩いていた。
「そんなに仲が良かったんだな」
街灯が無ければ真っ暗で何も見えなさそうな、両サイドを林に挟まれた道を歩きながら、神威はぽつりと呟く。
「まぁな…。だからせめて、あぁなった理由くらいは知りてぇから、あぁして喧嘩売ってるっつーわけだ」
言ってニヤリと笑う君武。
「つか、それでなんで喧嘩を売るって結論に達するんだよ?」
神威は呆れながら頭を掻く。
なんとなく…
返ってくる答えは分かっていた。
「何言ってんだ?男同士が本音で語り合うっつったら拳でって、法律でも決まってんだろ?」
不思議そうに答える君武。
ほぼ予想通りの返答ではあるが、微妙に予想のしようがない変化を加えてきた。
決まってない、決まってない…
内心突っ込みを入れる神威。
「まぁ…冗談はさておき…」
ポケットに手を突っ込んだまま…
君武は足を止めると前方を見据える。
「なぁんか用ですか?この人怖いんで、喧嘩を売るならやめといた方がいいですよぉ」
神威は君武の横に並ぶと、前方右側の木陰に向かって声をかける。
「今日こそてめぇを殺してやるぜ、君武ぇ!」
物騒極まりない事を宣いながら木陰から出てきたのは、パンキッシュにアレンジした制服に身を包んたモヒカン頭の男。
「しつこいっすねぇ…先輩」
おそらく、先程の話に出てきた不良の一人であろう。
呆れた調子で君武はパンク男を見る。
「自分はいいんだ?」
言って意地の悪い笑みを浮かべ君武を見る神威。
「うっせぇ」
バツが悪そうな表情で君武が拗ねた声を出す。
「俺をシカトして話してんじゃねぇ!!俺は力を手に入れたんだze!!」
言いながら、パンク男は懐から何かを取り出す。
i-pod?
神威が疑問に思っていると、パンク男は取り出したi-podを指先で操作する。
『神威…あやつ…』
『接続しておるぞ』
神威の脳裏に響く攻殻と斬鉄姫の声。
「マジかよ!?」
神威が叫んだ途端…
i-podを持ったパンク男の前に、虚空に浮かぶ形で光の召喚陣が3つ形成される。
「Hiiiiiiiii-Hooooooooo!!ショータイムの始まりだぜぇ!!」
パンク男の叫びに呼応するかの様に、3つの召喚陣を打ち破り、それぞれ別の影が飛び出した。
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