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「君武、俺が誰だか分かるか?」
神威は念のため君武に質問をしてみる。
「神威だろ?八掛神威」
……
これは…言っても良いもんだろうか?
一瞬考えるがそんな暇はない事を目前の光景が立証している。
「応戦の為に俺も化け物呼ぶからな!?」
神威は意を決すると、木刀を構えパンク男に向かって走る。
『化け物とはなんじゃ!!』
不満の声をあげる斬鉄姫は取り敢えず無視。
「攻殻!!君武のフォローを頼む!!斬鉄姫!!ガルムの牽制を!!」
『御意』
テンションの違いはあれど、二人の声は見事にハモる。
漸く召喚した悪魔を従えたパンク男は、向かい来る神威に向かって片手を翳す。
「アギラオ!」
言葉と共に、パンク男の手からバスケットボール程の火球が生み出され、神威に向かって撃ち出された。
「Hi-Ho!!焼け死ねゴルァ!!」
ケタケタと笑いながらパンク男は神威を見る。
一方神威は冷静に木刀の刀身に手を翳し…
「ブフーラ…」
あれからの2ヶ月で特訓により身に付けた魔法の一つ、氷結魔法を木刀に放つ。
それに反応して、木刀の刀身が青白く輝き霜がおりる。
特訓の際に分かった事が一つ。
この木刀に魔法をかけると、刀身はその魔力を帯びる。
イメージしやすく簡単に言うと、ファンタジーに出てくる魔法剣の様なイメージだ。
神威は魔力を帯びた刀身で迫り来る火球をかなりな大振りで薙ぎ払う。
―ジュン!!
大量の水蒸気と共に、吹き散らされる火球。
水蒸気を割いて背中を見せた状態でパンク男に肉薄する神威。
火球を薙ぎ払った勢いを殺さず、回転を加え、遠心力を乗せた斬撃を繰り出す。
―が…
「そいつの相手は俺だ!!」
突如掛かった君武の声に神威は一瞬躊躇する。
「ジオ!」
思ったより近くで響いた声に、神威は慌ててバックステップで距離を取る。
いつの間にかパンク男の頭上に飛来したピクシーの指先から、先程神威がいた場所に向かい一条の稲妻が走った。
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