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「外れちゃった♪」
ペロリと舌を出し取り繕うピクシー。
パンク男自身は手にした力を持て甘し気味で大したことはなさそうだが、ピクシーのフォローが厄介だった。
が…
―任せてみるか…
神威はレギオンに向かい距離を縮めた。
『ヨロシクな、小僧』
君武の前に突如現れた巨大なカブトムシが君武に声をかける。
言うまでもない。攻殻である。
「マヂに面白ぇ!」
心底楽し気に笑みを浮かべる君武。
そんな君武に向かって一直線にガルムは突進し、距離が縮まったところで飛びかかる。
側面からの体当たり。君武は軽くバックステップをしてかわすが、ガルムもここまでは読んでいただろう。
―しかし…
ごしゃ!!
君武の右フックがガルムの鼻先に炸裂する。
今までに、素手で殴りに来た敵はいた。
しかし…敢えて顔を、しかも、殴りにいった腕を噛み砕かれる危険の高い、鼻先を殴られた経験など、ガルムにはない。
君武がそのまま右腕を振り抜きパンク男を見ると、肉薄した神威が木刀を振り抜こうとしている所だった。
「そいつの相手は俺だ!!」
思わず叫ぶ君武。
望んだ相手に相手にされない辛さはよく分かっている。
せめて自分が相手をしてやりたかった。
吹き飛ばされたガルムはかろうじて着地をすると君武に向かって炎を吐く。
「おいおい!!単なるでっけぇ犬じゃねぇのかよ!?」
思わずぼやくがしっかり身体は動いている。
しかし、広範囲に吐かれるブレスを避けるには遅すぎた。
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