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「アギラオ!」
一気に距離をつめた君武に向かいパンク男は再度火球を放つ。
そこにあわせるように…
『ジオ!!』
ピクシーから放たれた電撃が火球にまとわりつく。
ぎん!!
即座に君武の前に展開する青い障壁。
その障壁の表面で爆炎と雷撃が弾ける。
役目を果たした障壁は澄んだ音をたてて砕け散り、地面に落ちる前に虚空に溶けるかのように消え去った。
未だに残る爆炎を割りパンク男に肉薄すると、渾身の力を込めた拳をパンク男の腹に叩き込む。
「ゴフッ!!」
たまらず吹き飛んだパンク男を追撃しようとする君武に…
『ジオ!!』
再度虚空から伸びる電撃。
かろうじて飛び退く事で、君武は事なきを得る。
『ごめんねぇ…不本意だけど従わなきゃいけないのよねぇ…お兄さん結構カッコいいからしたくないんだけど…』
ピクシーは申し訳なさそうに手をあわせる。
「なんか弱味でも握られてんのか?」
君武は頭上のピクシーに問い掛ける。
『んー…あの機械で主従契約結んじゃってるし、ここから帰るの大変なんだよね…。だから手助けしないと、行く場所もないし、食べるものにも困っちゃう…』
溜め息を吐きつつげんなりとした表情を浮かべるピクシー。
「俺がなんとかしてやるから、せめて手を出さないでくれ」
君武は軽く溜め息をつく。
歯向かうなら容赦はしないが、出来るなら女子供は殴りたくない。
などと、自分も子供のくせに考えていた。
『ホントに!?』
ピクシーは満面の笑みを浮かべる。
「あぁ、だから手を…」
『出さない出さない♪寧ろ手伝っちゃう♪』
ウキウキとした表情で君武の周りを飛び回るピクシー。
ピー
電子音と共に、i-podの表面に、【ピクシー:契約破棄】と表示されるが、誰もそれに気付かない。
『ほぉ…既に契約中の悪魔との交渉か…交渉人【ネゴシエーター】の素質があるようだな』
攻殻はポツリと呟く。
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