第一話 目覚め

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 チュンチュン  朝のやわらかい光がカーテンの隙間からさしこみ、小鳥のさえずる声が聞こえる。しかし、この部屋の主は未だ夢の世界にいた…。   AM6:00  ピリリリリ…    ピリリリリ…      ピリリリリ…  枕元に置かれた目覚ましが無機質な電子音を響かせる。と、同時にカーテンがサッと開き、コンロに火が付き、あらかじめ用意されていたベーコンエッグが油をはぜながら焼かれる。音に気付いたのか、部屋の主は上半身を起こすと目覚ましを止めた。    「朝か…。」  窓の外に目をやり呟く。  端正な顔、碧がかった長髪。美形と言っても差し支えない顔だったが、それ以上に彼の双眼は際立っていた。二重瞼の蒼い眼。一見すると外国人のような眼は、今は穏やかに外の景色を見ている。  「チン!」  キッチンから、トースターが焼き上がりを告げる。その音で我に返ると、目覚ましの横に置いてあった細縁のメガネをかけ、キッチンへ向かった。   ジュ~  焼き上がったベーコンエッグをトーストにのせ紅茶をカッブに注ぐ。いつも通りの朝の風景だ。 .
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