第一話 目覚め

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   [辰清学園 高等部]  近代的な外観に不釣り合いな程立派な一対の門柱に行書体でそう書かれている。能力主義・帝国主義を掲げるこの学校は、戦前の貴族出身の軍人が創立したもので、小・中・高の一貫教育でありながら能力主義という考えから途中入学がしやすいシステムになっている。そうは言っても最近の学校に起こる現象は例外無く起きており、程度の違いこそあれ、生活の乱れや学力低下が深刻になっている。    北校舎3階           2━4  授業が始まるまでの朝の時間というのは、学力や学校の様式に関わらず会話に花が咲く時間であり、休み明けともなれば話しのネタは尽きない。このクラスも例に漏れず、話しに花を咲かせている。そんな中、教室に一人の男子生徒が飛込んできた。 「おい!今日、転校生がくるらしいぜ!」 「なに!マジか!?」  それまでアイドルについて熱弁していた男子生徒が問ただす。 「ああ!さっき職員室に行った時、宮塚先生(2-4担任)が話してんのを聞いたんだ!」  それを聞き、別の男子が後半を少し強調してとう。 「んで、男か? 女か?女の子なのか!!」 .
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