第一話 目覚め

5/17
前へ
/37ページ
次へ
 その聞き方に顔をしかめつつもやはりそこが一番気になるのか、女子もその会話に耳を傾ける。 「いや、まだ来て無いらしくて、実際に見たわけじゃないんだ。」 「ちぇ!なんだよ。詰まんねぇな。」 「まあ、“後のお楽しみ”としようぜ。」  (名前だけなら聞いたんだけどな…)  と別の生徒が宥めているのを横目に、空気と化した男子生徒は思う。 (えっと~確か………。) 「神威 翔覇(カムイ ショウハ)です。」  丁寧に頭を下げて翔覇が宮塚に挨拶する。 「やあ、君が転校生の神威君だね。私が担任の宮塚だよ。」  宮塚は、25歳という若さの先生で温厚な人だ。その性格と若さ、担当の社会の授業でのウケの良さから男女問わず慕われた先生だ。 「はじめまして。宜しくお願いします。」 「いやいや、君の様な礼儀正しい生徒なら歓迎するよ。」  と笑いながら話す。 「君の事は色々聞いているよ。まあ私のクラスは皆仲が良いから君も直ぐにとけこめると思うよ。」 「ありがとうございます。」 「うん。じゃあ、教室の方に行こうか。」  そう言って宮塚は神威を連れて2━4に向かった。 .
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加