桜吹雪は奇跡の余韻。

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世界は時の境界線を越えた…。 2009年。 年は越えた。 ボクの2008年は大変な年だった。 昨年は、咲希は失いかけた。 けれど、ボクはもう一度咲希と寄りを戻せた。 ある意味…奇跡かもしれない。 ボクの今は… きっと、龍一たちがいなければなかった。 そして、今。 「お~い!光里、咲希、早く来いよ!」 神社の石段の上から恋が叫ぶ。 元旦ということで、午前4時ちょっとすぎに、初詣に来ている。 龍一たちは毎年来ているらしい。 そこで、ボクたちも今年は便乗させてもらっている。 「ごめん、ゆっくりで…」 遅れている理由はボクのせいだ。 今、足を怪我しているからだ。 松葉杖を使っているためだ。 理由は、祢戸とのテニスの試合でだ。 最後のスマッシュを決める時、足を痛めた。 だが、それがなければ咲希は…今頃、祢戸と付き合っていただろう。 「ちょっと!」 バシ! 恋の頭を後から殴る夏美。 この二人は相変わらずのカップルだ。 「光里は足、怪我してんだから、ゆっくりでいいの!」 恋の頬を摘む夏美の姿はまるで、恋のお母さんのようだった。
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