出会い

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ゴミ置場へと近づいていくにつれて、音は大きくなっていく。 これは音じゃなくて、女の子の泣き声? 私はそれに気づくと自然とゴミ置場へと向かう足も速くなる。 「あそこだ!」 ようやくゴミ置場へとつくとそこには…… 「お兄ちゃん……!グシュっ……ひくっ……」 一人の女の子がゴミ置場に倒れている男の子の服を掴みながら泣いていた。 私は急いで女の子の元へと駆け付ける。 「ちょっと!どうしたの!?」 私が女の子へと話し掛けると、その女の子は涙でくしゃくしゃになった顔と潤んだ瞳を私に向ける。 「お兄ちゃん……が……グすっ……!」 私は女の子の尋常じゃないその態度に男の子が大変だということを感じ取る。 私は急いで男の子の脈、息、外傷を確認する。 しかし頭にたんこぶが出来ている以外には外傷はなく、脈も正常、息も整っている。 どうやら気絶しているだけのようだ。 私は、ほっと胸を撫で下ろす。 私は心配そうな顔で私を眺めている女の子の頭へと手をのせ、ニコッと笑いかける。 「大丈夫。お兄ちゃんは心配いらないわよ。」 「グシュ……ひくっ、本当に……?」 何この子!!可愛い~!!! 何かぎゅってしてあげたい!! 「本当、よしよし」 私は抱きしめたい衝動を何とか押さえ込み、頭を撫で回すだけに何とか留めた。
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