自分の為?あなたの為?

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「えっと……」 僕は何て答えればいいのか分からず黙り込んでしまった。 いきなり初対面の人に、親に殴られて気絶してました!なんて言えるわけがない。 どうすれば…… 「…………」 僕が黙り込んでいると、僕の気持ちを察してか、結衣さんが僕に話し掛けきた。 「……ふう。言いたくない物を無理矢理言わせてもしょうがないわね。 理由は言わなくていいよ。困らせちゃってごめんね。」 何で結衣さんが謝るのだろう? どちらかと言えば僕が謝り、お礼を言うべきなのに。 「そんな……謝らないで下さい。理由を言わない僕が悪いんです。 それに、助けて頂いたのにまだお礼も言っていませんでしたね。」 僕は深々と頭を下げ、ありがとうございました、と結衣さんに感謝の言葉を投げかける。 すると結衣さんは少し目を見開いた後、ニコッと僕にとても可愛らしい笑顔を見せてくれた。
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