決別

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そして母親。 母はまだ生きてはいるが、今はノイローゼ気味で家にこもりきっている。 母は、元気な時によく浮気を繰り返して、知らない男をよく家に連れ込んでいた。 僕がうっかり口を滑らして父親にそれを言ってしまった時ははっきり言って殺されるかと思った。 だから僕は母親も嫌いだ。 そして我が家の収入源は僕のバイト代のみ。 しかし僕が稼いだお金も、大体は母親が自分の男につぎ込んでしまい、全く意味がない。 どうして僕は逃げ出したりしないのか。 正直家を出ようと思ったことは何回もある。 しかし僕は逃げ出さなかった。 理由は……僕の命よりも大切な妹の存在だ。 名前は神崎桜。 僕の妹は僕のいっこ下の中学二年生だ。 はっきり言ってそこら辺のアイドルなんかより数百倍は可愛い。 いや、本当に。 そんな妹をあんな母親の元に一人にさせるなんて、僕には出来なかった。
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