決別

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「ただいま~」 僕がドアを開いてそう言うと、トテトテと可愛い足音が聞こえてくる。 「お兄ちゃん……!おかえりなさい!」 桜はそのまま僕の胸へと飛び込んできて、スリスリとほお擦りをする。 「どうした?寂しかったのか?」 桜はほお擦りをしながら、コクんっと一回頷く。 全く、可愛いなぁ。 そして桜はようやくほお擦りをやめて僕から少し距離を置く。 そして僕が右手に持っている紙袋へと目を向ける。 「お兄ちゃん。その紙袋……何?」 「ん、これか?これはね……」 僕は紙袋をとめてあるセロテープを剥がし、中にある熊のぬいぐるみを取り出した。 「はい。メリークリスマス」 僕はぬいぐるみを桜へと渡す。 「えっ!?これ桜にくれるの!?」 「もちろん。そのために買ってきたんだから。」 僕は優しく桜の頭をなでた。
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