第1集    魔法を使わない魔法使い

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『無人の廃墟』のビルに、黒のスーツを着た長身の男が原形を保っていない椅子に屈んだ姿勢で腰を掛けて、男は何処を見るでもなく無表情に煙草を一服している。 彼の虚ろな瞳は、黒ずんだ眼でもなく光輝く眼とも言い難い、そう例えるなら全面黒の空間に一点だけギラギラと光を帯びた薄気味悪い紅い点を連想してくれ。その瞳、冷酷な眼、人が死ぬのはさも当たり前だと訴える目、人の短所しか見ない眼、人を人とも見ない眼、人が生を宿すのを拒絶する眼、人が生きて来た経歴をゴミと想う眼、人を根本的に否定する眼、だがこれだけではしっくり、そう彼は『地球その物自体を否定する眼』これが一番彼に合っているだろう。 それに比例し、彼はこの地球その物を好まず塵一つ残さず葬りたいと願っているのかもしれない… 話しが少しズレた、話を戻そう。
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