それぞれの道

18/37
前へ
/445ページ
次へ
ここ1週間、颯太は隣の席に居ない………。 自分の仕事の引き継ぎや、海外留学の準備で忙しいのだろう……。 でもそれで良かった……。 隣に居ると、きっと息が詰まってしまう……。 しかしそれと同時に、もうすぐ居なくなってしまうという現実を改めて実感してしまい苦しんだ……。 加奈子も引き継ぎで忙しいらしく、しばらく話してなかった。 私は黙々と仕事をしながら、昼休みを待った。 久しぶりに話す、加奈子とのランチを考えると、心が少し軽くなった。 気が付けば12時。 「お昼行ってきます!」 私は交替の後休みの人に話し掛け、急いでバックを取りに、ロッカールームへ向かった。 加奈子はすでに来ており、私の事を待っていた。 「…ごめん!お待たせ。」 「私も今来たとこ。」 加奈子の笑顔につられて笑った。 …あっ……久しぶりに笑ったかも……。 「…じゃ、行こっか。」 「うん。」 そう言って、私達は近くの定食屋さんへ向かった。
/445ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19368人が本棚に入れています
本棚に追加