それぞれの道

19/37
前へ
/445ページ
次へ
「…エビフライ定食とハンバーグ定食お願いします。」 私達は注文を済ませると、しばらく黙り込んだ。 どう切り出せばいいのか、何から話せばいいのか……2人とも考え込んでいるんだろう……。 先に話しだしたのは加奈子だった。 「……愛、颯太を引き止めるの?」 「………まさか。私に引き止める権利ない…。颯太の人生だもん。応援してあげたい……でも、離れたくないんだ……。どうすれば気持ちの整理がつくのか……1週間考えたんだけどね。見つからない。」 「…着いていこうとか思わないの?」 「………考えたよ。でもね、多分颯太はダメだって言うと思うんだ。仕事を失ってまで着いてくるなって言うと思う。そんな気がする……。」 私は力なく微笑んだ。 「…だね。颯太なら私もそう言うと思う……。じゃあ待てばいいじゃない?ツライかもしれないけど……。」 加奈子が伏し目がちに話す……。
/445ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19368人が本棚に入れています
本棚に追加