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私の目の前に一台の大きなバイクが停まる。
メットを脱ぎ、髪を掻き上げながら、颯太がこちらを見る。
「……ゴメン。お待たせ。」
私は小さく微笑みながら、首を左右に振った。
バイクを指定の位置に停め、2人で遊園地の中へと入っていった。
「……来てくれてありがとう。もう話してもらえないかと思った。」
颯太が優しく微笑みながら言った。
「……そんなこと……。ゴメンね。私の方こそ。」
私はゆっくり視線を外し、下へと俯いてしまった。
颯太が私の手をそっと取った。
暖かくて大きな安心できる手……。
また涙が溢れそうになった。
「…夜の遊園地、二回目だね。」
「うん。」
前に2人で乗ったアトラクションや、ゲームセンターの前を懐かしげに2人で通る。
懐かしくて、2人で立ち止まっては静かに見つめた。
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