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2人でただ黙って、園内をぐるぐる回った。
何も話さない颯太に不安を感じた。
ただ……繋いだ手は温かくて、不安になる度ギュッと握り締めた。
その都度颯太が握り返してくれて、私は何とか冷静で居られた。
「……愛、一つだけ乗りたいものがあるんだ。」
「………何?」
私は不思議そうに颯太を見つめた。
「あれ……。」
そう言って、颯太が指差した先には、2人で以前最後に乗った観覧車が廻っていた。
「……観覧車?」
「うん。あれならゆっくり話せるし。」
颯太がグイッと腕を引っ張り走りだした。
「ちょっちょっと颯太!急に走らないでよぅっ!!」
私は足をもつれさせながらも、必死に颯太に着いていった。
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