19369人が本棚に入れています
本棚に追加
観覧車に乗り込み、私は息を整える。
フッと颯太を見つめると、颯太は物悲しそうな表情で窓の外を見ていた。
その横顔があまりにも綺麗で、艶っぽくて、私は思わず息を飲んで魅入ってしまった。
それに気付いた颯太が、私に優しく微笑んだ。
「愛……オレ、明日発つよ。」
「……………う…ん。」
私はそれ以上何も言えず、窓の外の夜景に目を向けた。
「…愛、こっち向いて?」
向かいに座っていた颯太が、私の隣に座りながらそう言ってきた。
私は戸惑いながらも颯太の方を見つめた。
「…ごめんな、愛。」
「……謝らないで。」
「………愛を連れていきたいよ。でも、今の俺にはそんな自信ない。」
分かってる……分かってるよ、颯太……。
でも、やっぱり辛いよ。
我慢していた涙が一気に溢れだした。
最初のコメントを投稿しよう!