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涙で颯太の後ろの夜景もぼやけて見える。
颯太が両手で私の顔を包み、指で涙を拭ってくれた。
でも、涙は後から後から止まることを知らない。
「……私、泣かないって……決め…たのにっ……笑顔で見送る…って……決めたのにぃ………。」
私は嗚咽を漏らしながら、必死で話した。
「……愛。」
颯太が優しくギュッと抱き締める。
私はそれに答えるように、颯太の背中に腕を回した。
「………オレ、愛を連れていけないなら、このまま縛り付けずに、別れて別々の道歩くのが良いと思ってた。待ってろなんて俺の我が儘押し付ける事は出来ない。」
颯太が私の頭を撫でながらゆっくり話す。
「………でも、でもさ……オレ、やっぱりガキなんだ。独占欲強くって、自分の願望も押さえ付けられない。だから、俺の願望…頭の片隅でいいから……少しだけ覚えといて?愛がイヤじゃないなら。」
私は黙ったまま颯太を見つめ続けた。
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