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「…皆、ありがとう。」
美里が呟いた後、しばらく沈黙が流れる…。
―…あげたい人って誰だろう……?美里のお姉さん?なんでわざわざこんな事………?
そんな事を考えていると、遠くから足音が聞こえた。
その足音は徐々に近づいてくる……。
一体……誰にあげたいの?
そう思った瞬間………。
足音は私の目の前で止まった。
止まったかと思うと、私は右手を引かれた。
引かれた右手の中にすっぽりと入り込むブーケの束。
………私?……私なの?
目を開けようとした瞬間、もう片方の手でギュッと握り締められた。
ビックリした私は開けることなく、再びギュッと目を閉じた。
……大きな手。
………温かくって、力強くって………安心出来る…。……颯……颯太?
「…愛、俺と結婚してくれる?」
その言葉に私は思わず目を開けた。
私の手を握り締めたまま、優しく照れくさそうに微笑む颯太の姿……。
「……これは…夢?」
「夢じゃないよ…。ただいま、愛。」
そう言うと、颯太は私の腕をグイッと引き寄せた。
温かい颯太の腕の中……変わらない。
「……お帰りなさい。颯太!」
いつの間にか私の瞳からは大粒の涙が後から後から溢れだしていた。
パチパチと手の平を叩く音が聞こえた。
美里が笑顔で拍手をしていた。
それにつられる様に、周りの人達からも拍手の嵐。
私は何がどうなってるのか分からず立ち尽くしていた。
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