死神の花嫁2.5~キスキスキ?~

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「ガザくん…」 俺の腕の中で、戸惑った表情を浮かべた彼女は、何かに気づいたように笑顔になった。 「ありがとう。嬉しい」 『嬉しい』…って、じゃあ「マリィ」俺のこと…。 右腕だけじゃなく、両腕で抱き締めようとした俺に、マリィは無邪気に。 「何だか元気が出てきた。モテモテのガザくんにそういう事言われたら、嬉しいな」 え。 「励ましてくれて、ありがとう。嬉しい、です」 頬を染め、とっても嬉しそうなマリィ。 励まし、ですか。そうですか。 思えば、今まで、このパターンで何度痛い思いをしたことか。 過去の『痛い思い』の数々が、頭の中で走馬灯のように映し出される。 「憧れの男性に、『魅力的』なんて言われたら、過剰に自信を持ってしまいそう」と舌をぺロッと出して見せた。 ふーん、憧れの男性に、ね。ふーん、どーせ…あれ? 「ガザくんの幼馴染で、よかった」 ニコニコ顔のマリィ。 「なぁ」 「はい?」小首を傾げるマリィ。 「『憧れの男性』って?」 「だって」マリィは凄く真剣な表情で「頭が良くて、性格も良くて、仕事が出来て、格好良くて、背も高くて。ガザくん、すっごく人気があること、気づいている?」 …マリィほど鈍くないので、気づいているが。 「わたしもずっと憧れていた一人、だったの」 え…「えーっっっ!!」 「そんなに驚かないで…あくまで、憧れていた、というだけだから。恋人なんて、無理だと解っていたし…」 無理じゃない。それどころか、大歓迎! 「でも、それを言ったら、啓さんの『恋人』も無理なのかも…わたし、取り柄もないし、死神だし」あ、そうだ。 マリィの表情が晴れ晴れとなる。 「啓さんに聞いてみたらいいんだ。そうしよう」 ちょっ、ちょっと待て。 「何を聞くつもりなんだ!」 「何って」きょとんとした瞳で見返し「『わたしって、魅力ありませんか?』って」 な、何だとーーー! 俺の脳内が燃え上がった。すでに許容範囲は超えている。 「じゃ、頑張ってきます!」 元気に言って出て行ったマリィ。 俺が我を取り戻し、後を追うにはもう少し時間がかかりそうだ…。 俺が『憧れの男性』ってことは…啓さえ居なくなれば、望みは繋げるということなのだろうか? いや、きっとそうに違いない。 望みがある限り、諦めない。 好きなんだから、仕方ない、だろ?    <fin>
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