死神の花嫁2.5~キスキスキ?~

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でも。それは「出来ません。俺は、マリィの『心』が欲しいんです」 曇りのない笑顔を向けて貰えなければ、本当に彼女を得ることにはならない。 「相変わらず、変なところで律儀だな。…お前らしいが」 くっくっと笑い、手にしたペンで俺の腕をつつく。 「しかし、もったいない。お前の事を想う者達も多いのに、肝心のお前が叶わぬ恋に一直線というのもな」 「…叶わぬ恋、ってのは止めてください」 叶えるつもり、なんだから。 「そんなに不貞腐れるな。…だからこそ、お前は『いい男』なんだろうから」 目を細めて見つめられ、そんなセリフを吐かれても、それは全然誉めてない。 「じゃ、俺は帰ります」 「あ、待て」エンカリーナさんが慌てたように引き止め「マリィに会うのか」 「ええ、まあ、約束していますから」 不本意ながら、啓の野郎への誕生日プレゼントを選ぶのに付き合う約束を。 『何だかね、ガザ君と啓さんって、趣味とか似ているの』 あんな笑顔向けられて、『お願い』なんて手を合わせられたら…断れる奴がいるんだったら、出て来い。 「だったら、しばらくマリィの身辺に気をつけてやれ」 真剣な彼女の声に、俺は戸惑った。 「どういう意味です」 「最近の妙な動きの中に、『純粋派』がちらほら見える」 純粋派。 「『死神は純血のみで構成されなければならない』なんてことを言っていた、アレ、ですか? でも、確か、指導者が追放になって、消滅したはずでは」 エンカリーナさんが苦々しげに「ああ、その通り。だが、どうやら新しい指導者が現れたようだ。しかも、かなり求心力のある、な」 「マリィは人間とのハーフ、しかも今、人間と婚約中。標的にされやすい立場だ」 精霊族とのハーフくらいなら、まだお目こぼしがあるだろうが。 彼女の危惧は、きっと間違ってはいない。 死神から見れば、あくまで人は弱い存在でしかない。
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